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無線LANのMACアドレス認証はリスク大【情報処理安全確保支援士試験 令和元年度 秋期 午後2 問2 設問3】

 情報処理技術者試験、情報処理安全確保支援士試験の午後問題を通じて、情報セキュリティの知識を体系的に蓄積していきましょう。

 キーワードに加え、設計やインシデント対応能力をシミュレーションできる良い学びの場ですので、試験合格はもちろん、情報処理安全確保支援士となった後も能力向上のために学習できるいい機会です。

 今回は、「無線LANのMACアドレス認証はリスク大」を取り上げた「情報処理安全確保支援士試験 令和元年度 秋期 午後2問2設問3」です。

 問題文中、設問に該当する部分ですぐに解答を説明しています。

 ストーリーとして何度も読みこなすと、自然に記憶に定着してくると思います。

情報処理安全確保支援士試験 令和元年度 秋期 午後2 問2 設問3

問2 工場のセキュリティに関する次の記述を読んで、設問1〜7に答えよ。

(略)

【調査結果

 Cさんは、F氏の支援の下、α工場の課題を調査した。α工場のネットワークの概要を図4に示す。

f:id:aolaniengineer:20200614143626p:plain

 

 調査によって発見された主要な課題を次に示す。

課題1:FA端末には、パッチの適用もマルウェア対策ソフトの導入もしていない。それにもかかわらず、複数のFA端末がA-NETに接続されている。

課題2:APは、接続を許可する機器をMACアドレス認証によって制限している。パスワードやディジタル証明書を利用した認証は行っていない。APの近くから、攻撃者が(g:電波を傍受)することで(h:MACアドレス)を入手し、この値を使用することで容易にAPに接続できてしまう。

g:電波を傍受h:MACアドレス

 AP(無線LANアクセスポイント )での接続機器制限をMACアドレス認証により実施しているとのことですが、これはセキュリティとして全く意味がない対応になります。

 なぜなら、MACアドレスは簡単に第三者に知られてしまい、容易に偽装されるものだからです。

 無線LANの場合、無線LANヘッダフレームにある送信元・先MACアドレスは暗号化されないため、無線電波を傍受することでMACアドレスを入手することができます。

 入手したMACアドレスを端末に設定することで、APに接続することができます。 

課題3:工場内で使われる機器は、標準PC及びFA端末も含め、業務用ソフトなどの脆弱性管理が不十分である。公開されている脆弱性情報が確認されておらず、パッチが適用されていない機器が多い。セキュリティ規程に脆弱性管理についての具体的な言及がなく、どこまで管理するかを各部門に任せている。

 

 CさんとF氏は、システム部及びα工場の関係者に、発見された課題がもたらすリスクを説明し、解決の必要性について理解を得た。その上で、課題の解決に向けて検討を開始した。

【出典:情報処理安全確保支援士試験 令和元年度 秋期 午後2問2】

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2019h31_2/2019r01a_sc_pm2_qs.pdf