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営業秘密の3要件【情報処理安全確保支援士試験 平成31年度 春期 午後2 問2 設問1】

 情報処理技術者試験、情報処理安全確保支援士試験の午後問題を通じて、情報セキュリティの知識を体系的に蓄積していきましょう。

 キーワードに加え、設計やインシデント対応能力をシミュレーションできる良い学びの場ですので、試験合格はもちろん、情報処理安全確保支援士となった後も能力向上のために学習できるいい機会です。

 今回は、「営業秘密の3要件」を取り上げた「情報処理安全確保支援士試験 平成31年度 春期 午後2問2設問1」です。

 問題文中、設問に該当する部分ですぐに解答を説明しています。

 ストーリーとして何度も読みこなすと、自然に記憶に定着してくると思います。

情報処理安全確保支援士試験 平成31年度 春期 午後2 問2 設問1

問2 情報瀬セキュリティ対策の強化に関する次の記述を読んで、設問1〜7に答えよ。

 A社は、従業員数200名の金型加工業者である。新潟市内の同じ敷地に本社と工場が、大阪市に営業拠点がある。本社には、管理部、設計部及び製造部がある。管理部には、総務係、営業係及びシステム係がある。営業係は、営業拠点を管理する。製造部は、工場を管理する。

 A社の金型加工技術は、評価が高く、大企業から金型加工を請け負うことがある。請け負うときは、金型加工に必要な情報を収めたファイル(以下、設計情報ファイルという)を、DVD-R又は電子メール(以下、メールという)を使って、発注元との間でやり取りする。

 A社では、最新技術の情報収集を目的として、取引先が参加している複数のメーリングリストに、営業係員及び設計部員が参加している。

 

営業秘密の取扱い

 A社では、自社の営業秘密が不正競争防止法で保護されるようにするために、不正競争防止法及び経済産業省が公表している営業秘密管理指針(平成27年1月28日全部改訂)を参考にして、表1に示す営業秘密に関する管理規則を定めている。

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【出典:情報処理安全確保支援士試験 平成31年度 春期 午後2問2(一部、加工あり)】

 表1の営業秘密に関する管理規則(概要)が定められた目的として挙げられている不正競争防止法とは以下のような法律です。

営業秘密侵害や周知なマークの不正使用、原産地などの偽装表示、形態コピー商品の販売などの「不正競争」を規制するとともに、国際約束に基づく禁止行為を定め、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律

(出典:経済産業省Webサイト(https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/))

 

 A社の営業秘密である金型加工技術が不正利用されないように、管理規則を定めたということです。

 では、営業秘密とは何かを理解しましょう。

 経済産業省Webサイト(https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html)には以下のように説明されています。

 不正競争防止法では、企業が持つ秘密情報が不正に持ち出されるなどの被害にあった場合に、民事上・刑事上の措置をとることができます。そのためには、その秘密情報が、不正競争防止法上の「営業秘密」として管理されていることが必要です。

  • 有用性:当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり、利用されることによって、経費の節約、経営効率の改善等に役立つものであること。
  • 秘密管理性:営業秘密保有企業の秘密管理意思が、秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保される必要があります。
  • 非公知性:保有者の管理下以外では一般に入手できないこと。
a:秘密管理
  • 営業秘密を含む文書は、全てのページにA社秘密情報と記載すること
  • 閲覧できる者を、A社の業務上必要な従業員に制限すること
b:有用
  • A社で開発し、A社の事業に必要な金型加工技術の情報を、営業秘密とすること
c:非公知
  • 営業秘密は、一般的に知られた状態にならないように、業界誌などの刊行物に記載しないこと