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帯域制御、シェーピング【ネットワークスペシャリスト試験 平成29年度 秋期 午後1 問2 設問3】

 情報処理技術者試験の午後問題を通じて、ネットワークの知識を体系的に蓄積していきましょう。

 キーワードに加え、設計や障害対応能力をシミュレーションできる良い学びの場ですので、試験合格はもちろん、ネットワークスペシャリストとなった後も能力向上のために学習できるいい機会です。

 今回は、「帯域制御、シェーピング」を取り上げた「ネットワークスペシャリスト試験 平成29年度 秋期 午後1 問2 設問3」です。

 問題文中、設問に該当する部分ですぐに解答を説明しています。

 ストーリーとして何度も読みこなすと、自然に記憶に定着してくると思います。

ネットワークスペシャリスト試験 平成29年度 秋期 午後1 問2 設問3

問2 仮想デスクトップ基盤の導入に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。

(略)

・印刷量は拠点によって異なるので、必要な帯域は把握していない。PCからプリントサーバに印刷データを送信したときは、一時的に大量の帯域を使用する

(略)

印刷量を把握できないプリント通信の帯域は確保しない

(略)

プリント通信も広域イーサ網を経由するので、本社から広域イーサ網方向の通信に対して、帯域制御が必要になる

(略) 

【帯域制御の設計】

(1)帯域制御装置の機能

 Uさんは、ネットワークセグメントの構成変更が不要で、帯域制御を行うことができる帯域制御装置の導入を決めた。Uさんが選定した装置の機能は、次のとおりである。

・パケットを送出するときに、支店ごとに二つの制御(分類制御、送出制御)が可能である。

・分類制御では、IPアドレス、ポート番号などでパケットを分類し、グループ化する。グループ化の単位をクラスとし、クラス単位でキューを割り当て、パケットを格納する。

・送出制御では、クラス単位の帯域確保の制御と、同一支店への複数クラスのパケットに対するシェーピングが可能である。

(2)帯域制御方式の設計

 装置の機能を踏まえ、Uさんが考えた帯域制御方式は、次のとおりである。

・最初にパケットは、IPアドレスで宛先の支店が決定され、支店ごとに設定した分類制御、送出制御に送られる。

・分類制御では、画面転送通信のクラスとそれ以外の通信のクラスを定義する。各クラスへのパケットの分類は、ポート番号で識別して行う。

・送出制御では、④画面転送通信のクラスに、各支店の従業員が同時に仮想PCを利用したときに、最低限必要な帯域を確保する設定を行う

④について、帯域確保の設定を行わなかった場合、TCの操作性が悪化することが懸念される。TCの操作性が悪化する原因を、プリント通信の特性に着目して25字以内で述べよ。:プリント通信が画面転送通信を圧迫するから。

 プリント通信については、本文に「PCからプリントサーバに印刷データを送信したときは、一時的に大量の帯域を使用する」「印刷量を把握できないプリント通信の帯域は確保しない」「プリント通信も広域イーサ網を経由するので、本社から広域イーサ網方向の通信に対して、帯域制御が必要になる」とあります。

 プリント通信により一時的に大量の帯域を使用した場合、他の通信で使用できる帯域が圧迫されることになり、TCの画面転送通信も影響を受け操作性が悪化します。

・それ以外の通信のクラスでは、帯域確保の制御を行わない。このクラスに分類されたパケットは、帯域が空いているときにだけ送出される。

⑤シェーピングの設定は、各支店における広域イーサ網のアクセス回線の契約帯域とする

【出典:ネットワークスペシャリスト試験 平成29年度 秋期 午後1 問2(一部、加工あり)】

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2017h29_2/2017h29a_nw_pm1_qs.pdf

⑤について、本社から各支店方向の通信の帯域が、各支店のアクセス回線の契約帯域を超過したときに、帯域制御装置がパケットに対して行う制御の内容を、15字以内で述べよ。:送信タイミングを調整する。

 シェーピングは、指定された帯域を超えないように、流入するパケットをバッファに一時的に蓄積するなどして送信タイミングを調整することでパケットロスを回避する機能です。